狭隘(きょうあい)路線で有名な「72系統 押熊線」に乗っています。
この記事は第四回「狭い道から」その①の続編です。未読の方はこちらからどうぞ。

さて、前回と同じく押熊線の説明です。

[系統と停留所]
RouteMap
72系統 押熊⇔西大寺駅
74系統 平城中山→西大寺駅

74系統は平日2本のみで、72系統に続行で運行されています。


[道路事情]
秋篠三和町から押熊までは、一部を除き、バスが走ると対向の車とすれ違えないレベルの狭隘区間となっています。しかし、驚くなかれ。全経路、一方通行ではないのだ。これ覚えておいてください。

一方通行の道路でないにもかかわらず、バスも同じ道を双方向に走るという凄まじい区間です。
この道は一人旅第二回で歩いた県道52号線(京都府内は府道52号線)の旧道区間となっています。旧道なので住宅街の中を縫うように走っているため利用客は結構存在します。

バスの経路の途中には交通整理の警備員を配置しており、狭い区間を先に一般車両を通すか待たせるか、どこでバスがすれ違わせるかなどを、互いのバスや警備員と連絡をとりあって決めています。

さて、本編ですよ。
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相変わらず狭い道を進んでおります。
右端に申し訳程度の歩道がありますが、ほんとに申し訳程度です。対向車が来たら確実にヤバい状況ですが、誘導員さんがその辺りはしっかりと誘導をしてくれるので安心してバスも速度を出せます。

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平城中山停留所に到着です。
平日の朝はここ始発のバスが74系統として2本ほど設定されています。押熊からきたバスのすぐ後ろをついていく、いわゆる続行運転を行うそうです。ただ、西大寺駅から回送してきたバスを、72系統の停留所では道幅の都合で転回出来ないため、下の図のような変則的なバス停配置となっています。

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西大寺駅から来た回送バスは曲がってバス停に停車、発車時に橋までバックして転回、かな?
また時間があればここ始発も見に行ってみたいですね。

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さて、バスは再び動き始めます。ここからは少し大きな道となります。
ですが今までが狭すぎただけで、バスが走るにしてはこの道も比較的狭い部類に入るのではないでしょうか。とはいえ普通にすれ違えるのでこの区間はバスも安心して走れます。

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このまま広い道を走るのかな、と思っていた時期が私にもありました。
「束の間の安息ですよ」と言わんばかりにどんどん住宅街の中へと進みます。ニュータウンを走る奈良交通のバスは、基本的には大きな道路を中心とした路線で構成されている事が多いため、住宅街の中の狭い道までバスが入り込んでくるというのはなんだか違和感がありました。

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どんつきを左に曲がります。右手のフェンスは県立奈良工業高校の跡地です。
少し前の高校再編で県立奈良商業高校と統合され、奈良朱雀高校となりました。今でも建物は残っていますが、廃校と大して変わりません。奈良県は2000年代はじめに高校の統廃合を行ったので、使われなくなった校舎もまだ各地に残っていたりします。

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再びどんつきを左に曲がります。少し走ると大きな道路のあるT字路に出ます。
しかしバスは大きな道路という誘惑に負ける事なく、より狭い道へと進みます。どうして自分から狭い道へと進んでしまうのか、頭を抱えたくなりますがこればかりは仕方ありません。ただただ狭い道で巨体を揺らして走るバスに乗って、その凄さに圧倒するしか無いのです。

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真っすぐ進み、バスは頑張ってゆるい坂道を登ります。直線なのに速度は20キロと遅めなので少し嫌な予感がしますが、登り切るまでもう少しです。変わらないとは分かっていても、ついついバスの負担を減らそうと腰を座席から浮かせてしまいます。

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ああ、まだ狭くなるのか(絶望)
一体このバスは前世に何をしたんだと言わんばかりに道は狭くなります。
壁に当たらないように、そろりそろりと、しかししっかりと、バスは進みます。

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すれ違いなんて到底出来ません。仮に前から車が来たならば、なんとかしてその車に場所を譲ってもらうしかありません。例えば、側に緑フェンスのある小道にありますが、そこに頭から突っ込んでもらうとか。でも、そうでもしないとバスが通れないのです。

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信じていれば良い事があるようで、少し走るとバスがすれ違える場所がありました。
すれ違えはするのですが、その前後は相変わらずの狭さなのでここで時間調整をします。まるで単線の鉄道ダイヤのようですが、ここは普通の路線バスです。近くに幅の広い道があるのになぁ。

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この路線は歴史のある路線であり、つまり長年この道を走り続けてきたという事でもあります。昔の人は考えることがよく分からないという言葉がありますが、これはその最たる例かもしれません。
狭い道を走るバス路線を設定した会社も会社ですが、何よりすごいのはこのバスを操る運転士さんであることは間違いないでしょう。

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先ほどの道を真っ直ぐ進むとT字路に出ます。写真では広く感じますがそれは錯覚です。
ここを右折します。右折してすぐのところにバス停があり、そこでお客さんを拾いました。バス停にバスが止まると後ろの車は通れませんが、バイクはかろうじてすり抜けていきます。

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バス停に停車中です。申し訳程度にバス停っぽく路肩が存在しています。
この先の道は、軽自動車ですらギリギリまで寄ってすれ違える程度。バスもそのへんは分かっているので、なるべく先ほどの交差点を曲がる前に車を通します。

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秋篠寺の近くです。結構有名なお寺らしいです。
JR東海の「うまし うるわし 奈良」の中でもしっかりと紹介されているお寺です。その中の、秋篠寺の紹介文には「車がすれ違うのもやっとというほど道の狭い集落に」と書かれているのですが、そんな狭い集落の道を堂々とバスが走っています。大切ですから何度も言いますよ、何度もね。

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ここの右手に秋篠寺の門があります。バスはここ左に曲がり、奈良競輪場の近くへと進みます。狭い道であるにもかかわらず直角コーナーとなっており、バスの運転手さんも特に気をつけて運転しているのではないでしょうか。この辺りに誘導員さんが1人配置されています。

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直角コーナーを曲がっても、相変わらずの狭い道が続きます。歩道(のようなもの)ができたため、余計に狭くなったそうですが、ここは歩道がないと危ないでしょうね。こんな道幅ですが、一方通行ではありません。写真に奥にある大きな屋根が奈良競輪場です。競輪が開催される日は西大寺駅から直行便が運行されます。

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競輪場の側を通ります。だんだんと駅へ近づいてきており、まだすれ違うには厳しい道幅ではありますが、少しずつ広くなってきています。狭隘(きょうあい)路線もそろそろ終わりでしょうか。

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狭隘(きょうあい)区間もいよいよ終盤となってきました。ここを走りぬけてカーブを曲がると、奈良競輪の建物が見える交差点に出ます。そこを右に曲がるところで狭隘区間はおしまい。あとは対向も余裕でできるような道路になります。

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やっと普通の道路です。建物に囲まれなくなった分少し速度が落ちたように感じますが、実際は先ほどよりもスピードはやや速め。やはりスペースがあると走りやすいのでしょう。

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道を真っ直ぐ走ると近鉄京都線の踏切が見えてきます。付近に学校があり、乗った時は下校のタイミングだったらしく、児童が沢山歩いていました。子どもたちに気をつけながら、バスは駅まで進みます。ちょうど電車が目の前を通過しました。

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ここを曲がるといよいよ西大寺駅も近いです。駅の手前で「字はまずいが魚はうまい」の店があります。近鉄電車で西大寺駅をよく使う人ならば一度は看板を見たことあるのではないでしょうか?

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さあ西大寺駅が見えてきました。近鉄の重要な駅であるにもかかわらず、駅前の道路事情はとても貧弱というか、立派ではありません。駅前にしては入り組んでますし、道も狭い。ここの踏切はラッシュ時に関しては開かずの踏切で有名なので、道路も混雑してくるでしょう。しかし抜本的に改善できるような方法は特にないのが現状です。でもまあそれはそれでいいのかも。

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こんな駅前の道路事情ということが影響しているのか、それとも乗降客よりも乗り換え客の方が多いのか。何が理由かは分かりませんが、西大寺駅を起点とするバス路線は押熊線を含めてもそれほど多くありません。なのでまあ、今のところは駅前はこれで大丈夫なのでしょう。


ということで、押熊線これにて完乗です(完乗が目的ではないんですけどね)。
この路線はとにかく道が狭いんだ、と色々なところで耳にしてきたのですが、今回乗ってみてそれは本当だったんだなと言う事がわかりました。あまり旅行目的以外でバスに乗ることって無いんですが、バスに興味も出てわけですし、たまには乗ってみるのも面白いもんだなぁ、とおもいました。

廃バス系統巡りもちょくちょくやっていきたいですね。あまり住んでる地域は廃止になった系統が無い(代替で別系統が設定されたりしてる)ので、少し足を伸ばして奈良県南部とか行ってみたいなーと思います。まあいつになるのやら。免許がないからね。

それでは、今回はこれでおしまいでーす。
またねー。